#レコーディングダイエット

毎日食べたものを書きます

ラッパーは「地元」に根差しているかーー「地域」が先か「カルチャー」が先か

読みごたえのあるラップ批評を書く韻踏み夫さんの記事。(早稲田大学の4年生らしい。本当にすごいなあと思う。)

www.premiumcyzo.com

記事に「ラッパーはフッド(地元)に根差している」「ラッパーがフッドを歌うのも、ラップがラッパーの自己と不可分であり、自己はその育った環境と不可分だからである。」とあるけれど、私はここは本当にそうなのかな?と思うことがある。


大和田俊之・磯部涼・吉田雅史「ラップは何を映しているのか」でも同じ議論があって、同著では『地域ではなくサブカルチャーに根差すというスタンスこそが日本のリアルなのではないか(磯部)』と語られており、私もそう思うんですね。

地元に根差しているラッパーは確かに少なくないと思うけれど、それは、ヒップホップというカルチャーのフィルター/フォーマットを通して「地元」を発見しているんじゃないかなと思うんです。
地元愛が先にあるんじゃなくて、いや、あったとしても、ラップ/ヒップホップというカルチャーが媒介となって地元を発見する、地元に根差すというスタイルを獲得しているのではないかと。


考えてみると「カルチャーを通じて『地元』を発見する」というのはラッパーに限ったことではなくて、意識高い感じで(←こんな言い方ですみません)地方に移住や定住を考える人たちも、そうなのではないか?と思う。

「忙しなく働くのではなく、ゆっくり流れる時間の中で
 近くで採れた新鮮な野菜や果物、魚や穀物を味わい
 自分で梅酒や漬物を仕込み、古い建物を直して住まう。
 夜は暖炉の火を囲んで、気の合う仲間と穏やかに語り合う」

という「カルチャー」…それは「思想」とか「物語」と言ってもいいかもしれないけれど…が先にあって、それにフィットした「地元(地域)」が浮かび上がり、選ばれるのであって、自然豊かな田舎であればどこでもこういうライフスタイルが生まれるわけではないと思う。*1

ヤンキーっぽい人たちも地元が好きとかよく言われるけれど、それも地元愛が先に立つのではなく「アツい仲間意識」「祭りで騒ぐ」みたいな文化・価値観があったうえで「こういうウチらの地元最高」っていう気分が出てくるのではないかしらと思うんです。


何が言いたいかと言うと、地域だ地域だ、地方創生だ、まちを盛り上げようという機運があっても企画が滑りがちなのは、

 ・地域の名前
 ・地域の特徴(観光名所や特産物とか)
 ・地域に住む/来るメリット

ばかりを連呼するばかりで、そこに誰かが乗っかりたい・共感したいと思う「カルチャー」とか「物語」がないからでは?と思うんです。いくらメリットがあっても「共感」が無ければそれは他人事。なので響かないと思うし、いざ住んでメリットを享受する人はいても、その人は単なる「消費者」であって、まちのために少しでも何かしてくれる人とか、愛着を持って住み続ける人にはならないだろうなあと思います。

だからと言って行政とかが「うちのまちの物語は、こういうストーリーなんですー!」とガッチガチのシナリオを作って押し付けてくるのもうざい。っていうかそんな市町村はあまり無いと思うけど、あるひとつのカルチャー/物語を推すと、どうしてもそれに「乗れない」人というのは出てくるわけです。ダサいと若い人は来ないと思っておしゃれにすると「気取った町は嫌だなあ」と言われてしまったり、とか。

ラッパーから見たらある町はゲットーだけど、チャレンジしたいビジネスマンや大学生にとっては可能性を感じるフィールドかもしれない。アートで身を立てたい高校生からしたら刺激のない退屈な村も、都会に疲れた人から見たら豊かさを感じる土地かもしれない。本当は素材にこだわったカフェや家具のお店もあるのに、メインストリートにはイオンやパチンコやスタバみたいなチェーン店が乱立して下品でしょうがない、なんて思っている人もいると思う。

でも、人が集まる町というのは「いい物語がある町」ではなく「たくさんの物語がある町」なんじゃないかと思う。都会に人が多いのは、便利だからとか、会社がたくさんあるからというのもあるけれど、いろんなカルチャー、いろんな物語、いろんな人が要られる場所が多いからじゃないだろうか。ラッパーとビジネスマンのカルチャー/物語は融合しないけれど、その街の中では「共存」していられる。都会に人が集まりやすいのは、たくさんの種類のカルチャーや物語があって、どこかしらに自分のフィットする居場所を見つけやすいからじゃないかと思うんです。

大都会ほどの人は住めないし、それほど多くの人に来てもらわなくてもいいけど、少しでも人が増えたらいいなあ、なんて思っている地域は、「メリット」ではなくて、まずは自分たちが持っている「カルチャー」や「物語」を発信したほうがいいんじゃないかしら?と思うんです。発信しないことには共感してもらえないので。
そしてヨソからそこに「暮らしたい」と思って来た人がいたら、その人の持っている「カルチャー/物語」をよく聞いて大切にしてあげることが必要なんじゃないかなと思います。自分たちのカルチャー/物語と言う名のしきたりやルールを押し付けるばかりではなく。きっとその地域が持っているカルチャー/物語と、その人が持っているカルチャー/物語がシンクロするところがあるはずなので。その積み重ねが、その地域の個性を作っていくのかなあ、なんて思いました。

□■□今回の記事とだいたい同じことを書いている記事□■□
yoshimi-deluxe.hatenablog.com


サイゾー 2017年 7月号 [雑誌]

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PEASTA

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FANTASY CLUB

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ヒップホップ・ドリーム

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*1:「ラップは何を映しているのか」によるとアメリカではもっと強い「地域性」っていうのがあるらしいんだけど、日本ではそうでもないっていうか、やっぱりまだ「カルチャー」に根差した地元の発見、が強いと私は思う。

性格が地味でも営業職はできると思う話

こういう話って、タイトルを見ただけで
「これ、読んだら『うわぁ…』と思って
 ブラウザをそっと閉じるタイプの記事やで…」と
思うんだけど、よせばいいのについつい読んでしまう。

dktkyk.hatenablog.com
記事の内容も相当怖いが、コメント欄がまた怖い。くわばらくわばら

たぶんこれを読んだ人の中には「こんな電通マンばっかりやないでー!」という反論もあるんだろうなあと思う。私は電通のことはよく知らないので何とも言えないけれど、でも職業や職種に対するステレオタイプなイメージってあるなあと思っていて、例えばこういう華やかに見える広告関係とか、広告じゃなくても営業職の人は「バイタリティがあって」「人付き合いがよくて」「愛想が良くて」「話題豊富で」「話し好きで」「おしゃれで」「社交的で」みたいな人がやる仕事だと思われているところはあるよなあと思う。

私も昔、ある会社で営業職をやっていたことがある。営業マンだと「売り込みとか仕事の話ばっかりじゃなくて、お客さんと趣味の話とかもして仲良くなりなさい」とか言われるんですよ。それはお客さんの考え方や人となりを良く知るということで大事なことなんだけど、私は若かったこともあり、そういう雑談が全然できなくて苦しんだことを覚えています。
ある時、他の地域から転勤してきたばかりの客先の担当者の人と話していたら、

「この辺で美味しいお店とかってあります~?」

と聞かれて、私はそれほどグルメというか食に興味もないし、よく飲み会とかで行く店があるけどあそこって美味しいのかな、私って口にするものの9割くらいは美味しいと思ってしまうから、自分が美味しいと思ってもその店を勧めていいものなんだろうか…とか余計なことを考えて、モゴモゴと言い淀んでいたら

「ダメだなあ~、営業だったらこういう時、おすすめのお店の2つや3つパッと言って、お客さんをすぐ接待に誘えるようにしなよ~」

なんて言われたことがある。
お客さんには全然悪気はなかったと思うし、むしろ若い営業マンに役立つテクを教えてくれたんだと思う。そうなのだ、実際に美味しいお店をレクチャーするのが大事じゃなくて、お互いにどんなお店が好きかを話すことで人となりを知ったり、これをきっかけに飲み行ったりする間柄になって、スムーズに仕事を進められるようになればいいのだ。本当に聞きたいのは店の料理の良し悪しじゃないんだ。ということにハッと気づかされて、自分は何て営業に向いてない人間なんだ、自分の見栄ばかり考えてお客さんのことを全然考えられていないじゃないか、こんなんじゃ相手から仕事をもらう資格も会社から給料をもらう資格もない、いや生きてる資格もない人間だ、もう死のう、と無駄に極端な落ち込み方をしたことがある。


でも会社に帰って営業部を見渡すと、全くそんな人ばかりじゃなかったのだ。

お客さんと飲みに行って仲良くなってウェイウェイ仕事をもらってくるタイプの人もいる。でも、そうじゃない人もいる。真面目一筋で、気のきいた雑談なんて全然しないけれど、「絶対に約束を守る。絶対に適当な返事をしない。任されたことを確実にやり遂げる」ということだけを日々積み上げて、コツコツと確実に売り上げて成績を出している人もいた。さらに、絶対に失敗したくない大きな仕事、確実にやらなければならない仕事がある時にも、お客さんは「あの人ならば確実にやってくれる」と信頼して任せてくれるのだ。

かと思うと別の上司は「お客さんと会うたび、くだらなくてもいいから必ず突拍子もない提案を1つする」と言っていた。あまりにも現実的でなかったり、しょうもなかったりして呆れられていることもあった。しかし彼が言うには「お客さんが苦境に陥って、考えても考えてもどうしてもいい解決策が出ない時がある。そういう時『いつもとんでもないことを言っているアイツならもしかして…』と、一発逆転のアイデアを求めて声をかけてくれる。その時は企画チームを総動員して本気のプレゼンをブチ込む」とのことだった。実際に「どうやって受注したんだろう」と思うような仕事をやっていた。

あまねく仕事というのは「その人ではできないことを代わりにやってあげて、その対価としてお金をもらう」ということだと思うんだけど、相手のできないこと、やってほしいことにたどり着いて、お金を払ってもよいなと思わせる方法は、きっとひとつではないはずなのだ。私達が買い物をする時、財布のひもを緩める理由が様々なのと同じように。「実用的で役に立つと思えるから」「店員さんの感じが良かったから」「見た目がカワイイから」「社会貢献できると思ったから」「人に自慢できそうだから」「他のよりマシだと感じたから」…


だから今、せっかく自分が入りたいと思った会社ややりたいと思った仕事についてたけれど「●●じゃないから自分がダメなんじゃないか」と思って死にたくなっている人がいたら、もっと自分のキャラを生かしながら売れる方法があるんじゃないか?と、死ぬ前に考えてみてほしいなーと思う。
もしも会社が、あなたのキャラじゃなくて「もっとウェイウェイしないとダメだ!」と何か1つの方法だけを求めてくるとしたら、それはその会社のカルチャーとあなたのキャラが合わないのかもしれないので、転職を考えてもいいんじゃないかと思います。逆に単一の方法で社員に動いて欲しい会社は、採用の時からそれを伝えて、かつそれができそうな社員だけを採用するのがいいんではないかと思います。大きなお世話ですが…

□■□関連する記事(リーマンの処世術関係)□■□

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働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。

働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。

結婚していなくてもできたこと、できなかったこと

5~6年の付き合いになる彼氏がいるのですが
私が「結婚という制度に私は乗っかりたくない」という理由から
結婚していません。

結婚という制度に納得がいかない点があるというのもあるのですが
(姓を変えたり変えさせたりしなきゃいけないのが嫌とかとか)
私は「愛しているからこそ、家族になりたくない」
というのが一番結婚したくない理由なんだと思っています。
昔から、家族といるより他人と居る方が
落ち着いて自分らしく居られるからです。。。
私は「愛する他人」と一緒に居たいんです。
今では家族とそんなに軋轢があるわけではないし
今の自分があるのは家族のおかげなので
大変感謝はしているのですが
これ以上、私に家族は、もう、いいです…と思っているのも確かで。

家族/家族という制度には素晴らしいこともあります!
大いにあります!
結婚含めその制度を大いに活用し、楽しみ、
人生の充実に役立てている方はたくさんいるし
わたしはそういう人を特別にけなそうともホメようとも
思っていないけど、
人それぞれに信じた方法で生きていくのがよいと思っているので、
他の人は大いに結婚や家族をエンジョイしていただいて
全く構わないのですが、自分はとにかく家族や結婚はしたくないのでしていません。*1

そんな中、最近その彼が交通事故に遭って入院することになり
色々あって、対外的にも
自分が妻っぽいことや家族っぽいことをしなければならないことがあったので
どなたの役に立つのか分かりませんが、結婚しなくてもできたこと
できなかったことを書いておくことにしました。
私は法律に詳しいわけでもなんでもなく、自分の経験を書いているだけですので
あくまでもご参考程度で。

1.結婚してなくても同じ保険に入れる

これは事故よりずいぶん前のことなんですが
彼が私の車も運転することが多くなったので
保険も内容を変えたほうがいいのかな?と思い
自動車保険の会社の人に相談したんですよ。

保険会社の人「運転される方はどういう方ですか?」
私「うーん、彼氏っていうか」
保険会社の人「内縁関係っていうことですか?」
私「内縁?どういう関係のことを内縁関係っていうんですか?」
保険会社の人「あ、うーん…一緒に住んでらっしゃれば内縁関係かなと」

そうかー、たまに週刊誌とか新聞で見て、どこか
後ろ暗いようなイメージがあった(私だけ?)
「内縁の妻」に自分はなっていたのか!と。
で、内縁関係なら「夫婦扱い」なので今の契約のまま(お金変わらず)で
いいですよ~と言われました。ちなみに損保ジャパン日本興亜です。
また、彼は原付に乗るのですが、原付の
「ファミリーバイク特約」っていうのも内縁OKで付けられました。

ちなみに「一緒に住んでるかどうかは、どうやって調べるんですか?」と
聞いたら「住民票が同じ住所ならいい」とのことでした。

2.結婚してなくても病院から説明を受けられる

なんだかんだで事故後最初に病院に行ったのは
私だったんですが、家族じゃなくても面会とか
医師からの説明とか受けられるのかな?と思ってたんです。

こういう時のために(?)私は小賢しい悪知恵を持っておりまして
↑の前置きに書いたような説明を長々としなくても
「結婚はしてないけど私達は特別な関係である」ということを
2秒で説明できる、パワーワードがあるのです。

それは「婚約者です」と言うことです。

入籍と違って婚約って口約束レベルでも成立するし
「特に結婚の予定はないけど、もしも結婚せねばならんとなったら
結婚する相手だよね」というレベルの合意でも
婚約は婚約であろうという判断から、ウソはついてないよねと思い、
説明がメンドくさい時にたまに使っています。
(私は使ったことがありませんが、家を借りる時に
「同棲します」よりも「婚約者です」と言うと大家さん受けが良い
という話を聞いたことがあり)

というわけで病院でも便宜的に?婚約者ですと名乗ったら
何の疑いもなくすぐにレントゲンとかを見せてもらえ、
この書類を書けここにサインしろとか色々言われ、
ハイハイと従っていたら入院の手続きもスムーズでした。

病院からしたら「私が手続き等々に関して責任を持ちます!」と
言ってくれる人であれば、誰でもよかったのかもしれず
彼女でも内縁の妻でも同じ対応だったかもしれないな…と思いました。

3.結婚していないと住民票は取れなかった

手続きの中で彼の住民票の写しが必要になったので
代わりに私が区役所に行くことになりました。
窓口の人に聞いたら「あ~、住所が同じでも世帯が違うと
委任状を書いてもらわないと住民票は出せないです」と言われました。

私達は二人とも同じ住所なんですが
結婚していないので世帯は別々なんですよ。
同じ住所に世帯主が2人おるのです。

委任状と言っても簡単なもので、
住民票の写しの取得を私に委任します、という書類に
彼の印鑑を押してもらうだけなんですけどね。

逆に「家族だったら(世帯が同じなら)委任状無しで
他の人の住民票を黙って取ってこれるのか!?」と思い
トラブルになったりしないのかなと不安になりましたが
とりあえずそれ以上は考えないようにしました。

4.結婚していない自分に堂々としていることができなかった

というわけで、今回「結婚していない」という理由で
特に不便を感じたことはなかったんですよ。
会社員だったら、家族が入院したときに
介護休暇がとれたかも~というのはあったかな?と
思いましたが、自営業だし。。。

さらに、手続きの中で、メンドーなので
書類に自分の続柄を「妻」と書いて済ませたりもしてたんですね。

でも、生活が落ち着いてくるにつれ
最初はなんでもなかったそれがだんだん
苦痛になってきて…。
「婚約者」もウソではないけれども、
名誉白人みたいなものというか…

自分は結婚していてもしていなくても
人間の価値に変わりはないし、そのことで
優遇されたりされなかったりするのっておかしいんじゃないか?
という疑問を持っているのに、いざとなったら
「結婚しているということで便利な面」だけをスルっと
美味しいとこ取りしてるだけじゃん、ていう
自分の中のもう一人の自分が自分を糾弾し始めたんですよ。

イヤイヤ、でもさー
そうは言っても緊急事態なんだしー
病院とか保険で主義主張を振りかざしたところで
何か変わるわけじゃないじゃん?
それにそんなに潔癖に戦わなくてもさー
小賢しく非婚生活をいけしゃあしゃあと送り続けて
多様性が堂々と存在する状態を作ってしまえば
人の意識とか制度って後追いで変わっていくんじゃないのー
という、また別の自分が自分を庇いに来たんです。

こんな感じで自分の中で自分同志が水掛け論の泥仕合になってしまいました。

「面倒だから」という理由で、婚約者ですーとか言って
その場をやり過ごして、その時はスムーズでいいんだけど
でも、その説明を省いたことが自分には思った以上のダメージに
なっていたみたいなんですね。なんか、蕁麻疹が出たり…
そんなに「妻」とか書くことに本当は抵抗があったんだなあ、
まさに「結婚アレルギー」なのかしら…とか。(笑)

メンドくさがられても、いちいち自分の考えを
説明し続けたほうがいいのかなあ?
それとも、もっとしたたかにやれるように腹を決めればいいのかな?

どちらもまだ、自分の中では腑に落ちないので
ここで安易に決断しないで
両方の間で迷いながら考え続けようと思いました。

*1:結婚しない理由ってこんなに長く書かないといけないものなんでしょうか

疎外感がエンジンだ

みんなー!ネオまちおこしことシティ・プロモーション界隈にサブカルおしゃれ旋風が吹き荒れているよー!

神戸市
fnmnl.tv
名古屋市
snug.city.nagoya.jp

別にいいんだけどさー!

しかし何なんですかね、行政がクソダサいことやると「そんなダッセーことに税金使うんじゃねえよー!」と思い、ちょっとおしゃれなことをやれば「チャラついて小金持ってるヤングアダルト(死語…)に媚び売ってんじゃねーよ!」と思う、この私の荒んだ心は…。まちじゃなくて、私の心がゲットーなのか。過疎なのか。


と、思ってele-kingを読んでいたら、レヴューにこんなことが書いてあった。

新しい音楽というのは、それまで存在していた世界に疎外感を覚えていた人にしかつくれないと僕は思っている
(三田格「Klein/Only」のレビュー http://www.ele-king.net/review/album/005644/

www.ele-king.net

オシャレなまちづくりグループに居場所のなさを感じたら、もうちょっとカジュアルなグループを自分で作ったり見つけたりすればいいし、お上の作ったまちおこし計画がダサくて死にそうだったら、もっと面白いことを自分でやったり、かっこいいと思えることをやっている他のまちに堂々と出て行けばいいだけなんだよね。
どうしても目立つアクション=その地域の印象、ってなっちゃうけど、そんなに単純なものじゃなくて、ほんとうは同じ地域にいろんなジャンル、いろんな世代、いろんなムード、いろんなコンセプトの集団がいくつもあるわけで。それを「この地域は○○だから!」とか、誰に何を言われようと、わかりにくいとかとか言われようと、ひとつにまとめなくってもいいし、自分たちが地域ブランドみたいなものに染まらないからと言って気にしなくてもいいんだよね、べつに。

いろんなグループがたくさんあって、それぞれが切磋琢磨しあったり批評しあったりすればいいんじゃないかな。自分たちのグループだけのものさしで「あいつらはおかしい」「ダサイ」「公金を使う意味がない」とか言って潰しあわなければ。「ああいう考えもあるんだよね」くらいで、それぞれのグループ同士いい距離を持っていればいいんじゃないかな。だけど同じ地域にいる以上、グループを越えてどうしても合意しなければならないことは、話し合いの手間を惜しまず合意できるようにそれぞれが頑張る。みたいな。

ちょっと話がそれたけど、そういう新しい「グループ」っていうかまちおこしムーブメント的なものを作る時にエンジンになるのって「郷土愛」みたいなものだと思われてると思うんだけど
「疎外感」も、そのエンジンになるんじゃないかなって思ったの。
あれも嫌、これも嫌い、ここは自分のいる場所じゃない。そう思った時が本当はチャンスで、新しい人間関係や文化に向かって自分が進んでいける時なんじゃないかなって思った。

これを読んでから、ずーっとブロックチェーン的世界をユートピアのようなものとして夢想しているのです、私は。

読むことは愛すること、愛することは読むことーー起業支援ネットaile98号が出ましたよ

いつも書かせていただいている
起業支援ネットさんの「aile」98号が
3月の始めに出ました。
今回は、なんと、福島特集です!
はるばる福島県まで取材に行かせていただきました~。

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インタビューさせていただいたのは
福島県双葉郡広野町楢葉町で障害のある人の
生活をサポートする事業所を営んでいる
NPO法人シェルパ」の古市貴之さんです。
ハートネットTVにも出ていらしたんですね~。
www.nhk.or.jp

震災から6年、まだ原発事故の爪痕も色濃く残る地域を
古市さんと、起業支援ネット/起業の学校福島キャンパスの戸上さんに
車でぐるぐると案内していただきながら、色々なお話を聞きました。

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海岸に大きな堤防を作っているところ
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除染した土を入れたフレコンバッグ

aileのお仕事を初めていただいたとき(もう2年くらい前でしょうか)、
「もっと”よしみ色”*1を出して欲しい」
というようなことを言われたのですが

起業支援ネットの会報誌なのに、なんで?
どうしてそんな、イチ個人の”色”が必要なのか?と
正直に言うと意味が分からなくて、今もよく分かってなくて、
でも、今回の福島特集は、誰にも求められていないけれど
初めて記事を一人称で書きました。
なんか、そうしないとウソだと思ったんですよね。

読むことは愛すること

いきなり話は変わるんですが
わたくし、文章が上手くなりたい一心で
数年前からイシス編集学校という講座を受講しているんですよ。
福島に行く前日は、東京で編集学校の「物語講座」という
お稽古をしておりました。(なんと、夜の23時まで…)
編集する。日本する。イシス編集学校

文章を書くのが上手くなりたくて
物語講座を受けたんですが
前にも書いたんですけど
書くよりも前に、まずは「読むこと」のほうが
ずっとずっと大事なんだなって、この東京~福島ツアーを経て
再び実感しました。

本でも、人でも、風景でも、ある事象でも
まずは、じっとそれ自体を「読む」。。。
判断したり、言及したりしようとする前に
その人・そのこと自体の在りようを
そこに書かれていること、そこにあるままにじーっと見て読む。

「書く」ということは、そこから自然と浮かび上がってきた
何かーーそれが「物語」なのかもしれないーーを
そっと写し取る行為なのではないか、と思ったのです。

で、それって「愛」じゃんって思ったんですよ。
「君が僕を知ってる~♪」っていう曲があるじゃないですか。
あれは、君が僕のことを、
ちゃんと「読んで」くれているっていう喜びなんじゃないかなと。

一人ひとりの小さな物語をナビゲートする学校

ちなみにこの「aile」を出している「起業支援ネット」さんは
「起業の学校」という、ソーシャルビジネスやコミュニティビジネス
その他ビジネス・生業を立ち上げたい人や
すでに立ち上げちゃったけど迷いの中にある人のための
講座を開催しています。
NPO法人起業支援ネット

起業の学校のカリキュラムには
「自分で作った事業計画書を発表する」というのと
「自分のこれまでの道のりを物語にして発表する」というのが
あるそうですよ。
なんでも「事業計画書は”強さ”の共有、物語は”弱さ”の共有」
なんだそーです。

…と、説明しようとすればするほど、なぜか
「起業の学校」とは何ぞや、というのが
どんどん分からなくなってしまう、という講座ですので
気になる方は、ぜひ近日開催される「起業の学校」の
説明会や無料公開講座に行ってみては、いかがでしょーか!

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お申込みはこちら↓から
http://www.npo-kigyo.net/oc-koukai-nagoya

ちなみに、今回取材した古市さんも
「起業の学校 福島キャンパス」の卒業生です。
起業支援ネットさんが震災後、名古屋だけでなく
それまで特別に関係が深かったということもない
福島でも、敢えてこの講座を開講した、ということの意味に
思いを遣る取材でもありました。

起業支援ネットが、それぞれの人の抱える
「小さな物語」を、「起業」をキーにナビゲートしているのであれば
福島には、東北には、震災後の日本には、
不安や強がりに任せて性急に放たれる言葉よりも、もっと多くの
読まれるべき物語があるのではないか、と思いました。

■□■ Oshirasse ■□■

「aile」は名古屋市内・愛知県内の公共施設等の、
いろんな会報やパンフレットが置いてあるところで読めるほか
(ざっくりした説明…)、
起業支援ネットさんの正会員/準会員になって、
キラリと光る志ある起業家さんの応援をしていただけると、
三ヶ月に一回届きます。
この機会に、ぜひご入会くださいませませませませ。

入会は、こちらから

■□■ 余談 ■□■

取材前日に23時まで物語講座をやっていたのみならず
朝3時半まで遊んでいたのでした…
もう、こういう仕事のしかたは、しないぞ!!!
yoshimi-deluxe.hatenablog.com

君が僕を知ってる

君が僕を知ってる

物語編集力

物語編集力

*1:よしみというのは私の名前です

お前は「何かの役に立つから」という理由で音楽を聞くのか?

お前は「何かの役に立つから」という理由で音楽を聞くのか?
聞かんでしょ!?

「何かの役に立つから」という理由で
音楽を聞いたことがあったとしても
そんなのつまんないでしょ?
いくらいい音楽であっても、
そんな「お勉強」みたいな聞き方
つまらんでしょう?

かっこいいからとか好きだからとか面白いからとか
踊れるからとか何か気になるからとかヒマだからとか
そーゆー何の役にも立たない理由から、あるいは
そんな理由すら特になく音楽を聴くでしょう?
そしてカンドーするでしょう?
気持ちよくなって幸せになるでしょう?
それでいいじゃないですか。

で、突然なんですけど「人間が生きていること」も
同じではないかと思ったんですよ。
音楽の価値を「何かの役に立つから」なんてことに
押し込められないように
人間を「何かの役に立つかどうか」なんて
みみっちいことで判断しようなんて
セコいし、意味のないことなのではないか!
と思ったのです、

この、佐藤彰一先生の「障害者差別解消法を考える」(視点・論点)を
読んで。
www.nhk.or.jp


ちなみに「やまゆり園」について考えたことを、
わたしはこの前の夏には↓こんな風に書いていました。

「老いの空白」 鷲田清一著 ヨシミさんより – インター・スコア

わたしは日常の外から日常を撃つような音楽が好きだ。


JJJ - BABE ft. 鋼田テフロン (Prod by JJJ) 【Official Music Video】

HIKARI

HIKARI

老いの空白 (岩波現代文庫)

老いの空白 (岩波現代文庫)

THA BLUE HERBのライブを見てきました(2016年12月24日)

ご縁あって、2016年12月24日に名古屋のClub JB'sでの
THA BLUE HERBのライブを見てきました。
…という話を
2017年2月23日に書きますね。
遅っ!

TBHR [THA BLUE HERB RECORDINGS]

20th Century Rapper

とはいえ、わたしがブルーハーブをよく聞いていたのは
大学生の時なので、
ということは、もう20年も前のことなんですね…!

THA BLUE HERB
この映像は2000年のフジロックの時のライブなんですけど
当時は本当に神がかってたんですよ。
今は色んなラッパーがいますけど
こういうポエトリーリーディングみたいな感じで
ラップする人っていなかったし
圧倒的な語彙と知識に裏付けられた歌詞の厚みも
段違いでしたもんね。

で、今も日本語ラップ流行ってますけど
当時もけっこう流行ってたんですよ。(ざっくりした説明)
でも、当時ラップしていた人たちの中には
売れてくるにつれラップする意味を
失っていくように見えた人も多く
(ex.「成り上がりたい」がラップの動機だと
 成り上がってしまうとラップする意味を見失う)

でも、ブルーハーブは、当時のような勢いはないかもしれないけど
20年間現役でやってるんだー、
すごいなーと、思う一方で
今更…というか
何で今でも…というか
昔取った何とかで商売してんじゃないの…?
みたいな疑念も持っていました。

C.EのTシャツ着てる中産階級が聞く音楽とは

JB'sに入るとライブ前から超満員。
HAZUさんのDJ*1を聞きながら、うわー、若い子ばっかだー
と驚いた。

若い子だったら、もっとイマドキの若いラッパーの
音楽のほうがワクワクするんじゃないの?
なんでこんなおっさん(失礼…)の音楽がいいの?
など、三たび自分のことは棚に上げて考えていた。

また、わたしは今
Ryugo IshidaとかゆるふわギャングKOHHといった
ヒリヒリする生活の実感から生まれた
想像力とエネルギーが、暴走する彗星みたいになってるタイプの
ラップに夢中なので

C.E*2を着た大学生みたいな子たちが
安くないチケットを買って集っているのを見て
あー、よいご身分でいらっしゃいますね
なんて、これまた自分のことを棚に上げて思ったりしていた。

こっちゃポエム書いとるわけじゃねぇ

年寄りはジェネギャップ感じてしゃーねー

上っ面しかはかれんその物差し
へし折んのにやっとんだぜGame

流石 青臭くてトベねーのは
駄草の名産地ならではのお方

目指せ直木賞だなまるで

TOKONA-X「EQUIS.EX.X」2002年

「テレビは見なくてメディアリテラシーが高くて
トランプが大統領になって驚き怒っている人たち」と
「そういう人の言うこと為すことに
憤懣やるかたない思いをしている人たち」の断絶が
最近は話題になったけれど
2002年にTOKONA-XブルーハーブをDISったこの歌詞をふりかえってみると
前者が後者の思いに、存在に
気づくのが遅すぎただけだったんじゃないか?
そんな風に思ったりした。
寒がりのババアはカシミアのセーターを着てきてしまい
開演前から既に汗だくだ。

生き恥、説教、ライフストーリー

https://www.instagram.com/p/BOadlNoB3bm/
行ってきた #thablueherb

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ライブが始まるとドーっと若い人がステージの方に押し寄せてきて
しかも、皆、もう、目がキラキラなんですよ。
キラッキラ。
本当にみんなBOSSのことカッコイイと思っていて
ブルーハーブが好きなんだな、と思った。

でもBOSSの歌ってることって
他のヒップホップもそうなんですけど
ほぼ説教なんですよ。
自分の信じた道を生きろとか
他人の言うことに惑わされるなとか
わずかな金やちょっとした名声のために誇りを売るなとか。
汚れつちまつたババアには暑苦しく感じることも多いんだけど
それをメンタルとフィジカルの両方に響かせるべく
力強くてエモーショナルに訴える
20年戦士のラップだった。

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たぶん彼らのピークタイムのひとつは
20年前であったことは確かで
彼らも今もやり続けていることを
生き恥を晒しながら歌っている」とMCで言っていた。

昨今のラップバトル・ブームについても
だいぶ抑えたトーンで苦言を呈していた。
「自分はバトルMCではない、ラッパーだから」とも。

「バトルでそのラッパーが本当に言いたいことが
 ”勝ちたい、負けない”だけならばそれを言えばいい。
 でも10代を過ぎても言いたいことがそれだけなのか。
 10代なら10代、20代なら20代
 30代なら30代、40代なら40代の
 そこからしか見えないLIFE STORYを語ることが
 ヒップホップなんだよ!!!」

うおーっ、と盛り上がる会場の若人たち…

カッコよくてもすぐにイタくなり
常に色んな視点からの評価がメタメタに感じられ気になり
何事も言い切れない、決めきれない 
相対化の大海原にいるからこそ
生き恥でも痛くても、ピークじゃなくても、
おっさんでも、中流階級でも、
俺はこうなんだ、これを信じるんだ、と
熱く押し付けてくれる力を眩しいと感じるのかもしれないなと思う。


明日をも知れぬ非正規雇用から
抜け出せる道筋なんて全く見えなくて
家族はバラバラで金もなく
税金とか保険とか何それ?みたいな生活をしている人が
いっぱいいる世界では

iPhoneでサチモス聞いて
自分で焙煎した豆で煎れたコーヒー飲んで
ニューバランス履いて、みたいな子を見ると
ケッとか思っちゃうけど
中産階級には中産階級の苦悩があり、生活があり
それぞれに辛さがあり、それぞれに絶望があり
それぞれに必死なんだな、という
ごく当たり前のことに気づかされた。

だからといって
「お前らだけじゃないよ、それぞれ苦労してんだよ」
と、収入の少なすぎる層の苦しさを
相対化してしまうことは、
絶対にあってはならないと思うんだけど。


でも、後になってTOKONA-XとBOSSが和解した*3ように
たぶん、こういう音楽、こういう文化は
階層によって断絶されてしまった人たちが出会い
結びつくような機会と力を持っているんだと思う。

わたしは、誰になんと言われてもそう信じているので
ライターとして、
こういう音楽、こういう文化から貰った力をもとに
断絶を揺り動かすような言葉を紡いでいこうと思った。

やらなかった事 やれなかった事とも言うだろう
あんたが人生においてやらなかったことだよ
あなたがやり残したものとは何だい?

ハーフタイムは終わった ここから後半だ
土壇場 モノにする度 MORE YOUNGER
最後まで笑っていたいから頑張る 
まだやり残したことがあるんだ
THE BLUE HERB「AND AGAIN」


THA BLUE HERB×OLEDICKFOGGY:THA BLUE HERB「AND AGAIN」
(この映像は私が見た12月のライブの映像ではありません…)

LIFE STORY

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THA MASTA BLUSTA :20周年記念エディション

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*1:自分の中ではHAZUさんのイメージはSCHOOL NITEのDJなので普通にヒップホップをかけるDJは新鮮だった。ってこっちが本業だよね…。 ディスコ高齢社会---「SCHOOL NITE」に行ってきた【前編】 - #レコーディングダイエット

*2:スケートシングさんがデザインする洋服のブランド。Tシャツでも1万円くらいする

*3:とBOSSは言っている