#レコーディングダイエット

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何歳からでもはじめられる

南知多で知多牛BBQしてきました!
https://www.instagram.com/p/BJnIy3SBeB_/
知多牛BBQ楽しかった〜

この3月まで知多半島で仕事をしていたんだけど、この知多半島というところは何という変わった地域なんだ!?と赴任当初から思い、仲間と「2025年の知多半島を考える会」という大層な名前のグループを作って、色んな人に会ったり色んな所に行っては「スゲー!スゲー!」と必要以上に面白がるという活動をもう2年半くらいやっています。

3年くらい前、名古屋で生活困窮者支援の仕事をしていたんだけど、生活に困った人から電話がかかってきては、車で1時間かけて食料を届けたりお話を聞かせてもらいに行ったりしてたんですね。
そのたびに「これって1時間も離れたところにいる人がやることなのかなあ…」「もっと近所の人で助けてもらえないかなあ…」と思っていたんです。「近くの人」に頼もうとしても、わたしたちが頼りにできるのはその市町にある役所か、同じような困窮者支援のNPOかのどっちかで。で、どっちも慢性的な人手不足だから、必ずしも機動力があるわけではない。そんなに大したことはしてくれなくていいから、ちょっと何かを届けたり、話し相手になる近所の人がいるといいのに…なんて考えてたわけです。こういう「専門家じゃないフツーの人のボランティアをどう集めるか」っていうのって名古屋のNPOではどこも悩みの種だったんです。(たぶん全国的にも)

でも知多半島に来てみたら、もう20世紀の終わりごろから「たすけあい」という名前で、近所のひとがちょっとずつ、できることを持ち寄って他の人の家のお手伝いをしたり、おばーちゃんをみたり子どもをみたりしあう活動が出来ていたんですよ。しかも、なんかイケイケな感じで社会課題をソーシャル起業でカイケツしたるで~みたいな人ではなくて、
「そろそろ子どもも大きくなったし何かしたいわ」とか「困った時に頼れる人が必要よね」と思った普通の主婦の人たちが、素朴にニーズと知恵と時間とお金を出し合ってはじめたというんだから凄いなと思って。介護保険とか自立支援法とかない頃からですよ。いま、名古屋のNPOが欲しくてたまらなくて悩んでいることを、もう知多では20年も前からやってるじゃん!と思ったんです。

そんで、最初は福祉系のNPOの人の話を聞く会とかをしていたんだけど、それ以外にも知多半島ってすごく変わった人*1ばかりで、農家をしているひととか、古民家をなおして何かしている人とか、新しいマルシェみたいなお祭りしている人とか、寂れた港町を何とか盛り返そうとしている人とかを毎月たずねてはお話を聞いたり、まち歩きをしたりという活動をしていました。


その中で知り合った人が知多牛BBQの食材と場所を提供してくれた、南知多の「知多牛工房 牛小屋」の大岩さんなのでした。
知多牛工房 牛小屋


大岩さんはずっと南知多で知多牛を育てる畜産農家なんだけど、「育てた牛を直接食べてくれる人のところへ届けたい」と一念発起して、農家の傍ら牛肉の直売も始めた人です。*2
そのほかにも南知多ではエネルギッシュな人とたくさん知り合って、還暦を過ぎてから、使命感にかられていきなり経験のない障害者の支援を始めた人とか、脱サラしてオリーブ農家を始めた人とかと会いました。


昨日BBQしながらあらためて思ったのは、いつからでも人はやりたいことを始められるんだなということだった。
巷には「30代でしておきたい10のこと」みたいな本とかあるじゃないですか。早いうちに生き方を決めてそれに向かって努力すべきだみたいな。
確かにそうだなと思って、いまわたしは37歳なんだけど、同じ年くらいで成功している人を見ると若いときからすごくその分野の勉強をして、失敗をして今があるんだなと実感する。
それに比べて、わたしが「本当に自分がやりたいことをしよう」と決めてライターを始めたのはつい最近、今年からだ。いろいろなお仕事をいただくけれど、ライターなら普通にできてしかるべきことが、新米なのでおぼつかない。こんなにイイ歳のオバサンなのに、こんなこともできないし、知らないし、恥ずかしい。ああ、もっと早くから始めていれば、ライターとしてのキャリアを確実に積めていたのにな、と思うこともある。


でも南知多の人を見ていると、そんなのただの言い訳だったなと思う。人間は何歳からでも始められるし、何歳からでも始めていいんだと思う。大岩さんはじめ、どの人もおおらかで楽しそうにしているけれど、本当は辛いことも大変なこともあると思う。でも、それをまだわからないから、やったことがないから…と逃げないでやっていくことが大事なんだなと思う。
商売は初めて2年くらいだけど、大岩さんのお肉が美味しいのはまじめに牛を育ててきたからだし、BBQが楽しいのは大岩さんがバイク乗ったり友達を大切にしてきたりと、ご自身が楽しいことを積み重ねてきたからだと思う。経験がなくて始めた障害者施設に利用したい人が集まるのも、その人が生きてきた中で積み重ねてきた魅力があるからだと思う。

駆け出しのライターで、これまで職も転々としてきたのでさしたるスキルも無い。それでも、「転々としてきた」なりの何かが自分にはあるはずだと思う。たとえ無かったとしても「ない」ということだって自分オリジナルの属性だと思えばいいのではないか。「ない」ゆえにできることもあるんじゃないか。


Team2025も、実は最初はわたしが感動した知多半島の市民活動の歴史をリサーチして、それを本にしようと思って始めたプロジェクトなんです。でも、ある時「20年前と今では、担い手となる人の属性も時代のニーズも全然違うでしょう?*320年前の活動のことを本にして、そんなの誰が読むの?」と言われたことがあって、その時は何も言い返せず、その計画はとん挫したままになっているんです…。
このブログであまりTeam2025のことを書いてこなかったのも、たぶんその辺が引っかかっていて、うまく言葉にできなかったのだと思います。

でも、3年間やってきてみて、やっぱり当初考えてきた歴史をまとめることも、来年あたりからできたらなあと再び思い始めました。時代が違えばニーズが違うのは当たり前。でも、じゃあなんでみんなが司馬遼太郎歴史小説をありがたがって読むんだよ!!!っていう話ですよ!!!(笑)時代が違っても、そこに何か学ぶものがあるからでしょう!!!
ということで、BBQとかする活動も楽しみつつ、そっちも来年くらいからできたらなあ、と思っています。あまり仲間づくりとか得意じゃないけど、今度こそ、色んな人に助けてもらって、自分自身で、ともに。


↓以前に大岩さんのことを書いた記事。今読むと稚拙なところが目立って恥ずかしいけれど、たまにこうやって自分が書いたものに自分で励まされる。
yoshimi-deluxe.hatenablog.com

*1:褒め言葉

*2:ほとんどの畜産農家は市場に牛を納めるまでが仕事で、その後自分が育てた牛がどこへ売られて最終的に誰が食べたかを知ることはない

*3:20年前は夫の稼ぎで食える専業主婦の人が市民活動の中心になれたけど、今はそんな余裕のある人少ないでしょ?みたいな。