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#レコーディングダイエット

毎日食べたものを書きます

恋って呪いをかけられちゃったの

本/書評 こじらせ

 この場所の全体が雲の影に入っていた。
 厚い雲の下に、街があった。海との境目は埋め立て地に工場が並び、そこから広がる街には建物がびっしりと建っていた。建物の隙間に延びる道路には車が走っていて、あまりにもなめらかに動いているからスローモーションのようだった。その全体が、巨大な雲の影に入っていた。
柴崎友香「寝ても覚めても」河出文庫,2014)

柴崎有香さんの小説「寝ても覚めても」を読みました。

柴崎さんの小説を読んだのはこれが初めて。彼女の文体は「カメラ・アイ」とか「目の文体」と呼ばれているそうで、情景描写の凄さに度肝を抜かれている間に小説の中にぐぐっとひきこまれ、夢中になって読んでしまう。

でもそれがいけなかった。
美しい日常の風景と、恋愛の風景。主人公がボーイフレンドと親密になるにつれ、躊躇していた写真展を開催することを決めていく場面には涙した。そうそう、そうだよね、わたしも自分のことを認めてくれる人に会えたから、下手でもライティングの仕事をしようって決められたんだもん。彷徨ったって、愛すること誇れる誰かに、会えなさそうで、会えそな気がしてたから、生きてたんだよね。

と、思ってたら、文庫の解説で豊崎由美さんが書いているように(完璧な解説…)、

ラスト三十ページ間で起こること、それがわたしの胸の奥に刷毛で塗り残していった何かとても厭な感触は、生涯忘れることができない。
豊崎由美 『柴崎友香「寝ても覚めても」河出文庫,1984』の解説より)

という展開になり、主人公の女の子にバリバリ感情移入して読んでいると奈落の底に突き落とされる。
しかも、その展開は最後の30ページでいきなり起こるのではなく、よく読み返してみるとどうでもいい日常生活の語りのそこここに、周到に伏線が張り巡らされていたのだ。


その昔、小沢健二さん

『分かりやすい不良なんて、全然不良じゃない』

って言ってたことにたいへん共感したことがある。(ソースを探したけど無くて「不良」じゃなくて「反抗」だったかもしれない…)
見た目がいかにも悪そうな人とか、ヤンキーみたいな人って、世の中に反抗しているように見えて実は全然そうじゃないんだよね。ヤンキーの人が「反抗」したり「主張」したりしていることって

・先輩を敬え、会ったら挨拶をしろ
・自分の思いややりたいことを貫け
・建前でなく本音で語れ

…とか、メインストリームの社会で良しとされていることとほとんど同じなんですよ!!!「家族を大切に」とか!!!
なので、ヤンキーの反抗って「社会」に対してじゃなくて、「規範を守っていない社会」に対する反抗なんだと思うんですよ。「大人」に対する反抗じゃなくて、「ちゃんとしてない大人」に対する反抗、っていうか。あ~ごめんなさい。
だから「卒業」したあと、スンナリ社会でかわいがられたり、出世したりするヤンキーが多いのかもしれないです。


…という説と同じようにですね、

『分かりやすい狂気なんて、全然狂ってない』

のかもしれないと思うんです。
芸術家とか、アートを志す人に、わざと「自分がいかに人と違っているか」「クレイジーか」「逸脱してしまっているか」をアピールしようとする人とか、
そうでなくても天然でものすごく病んでたりドープだったりする表現をする人もいると思うんです。
でも前者は当然狂ってないし(人より××に見られたい!という願望ダダ漏れな時点で「ふつうの人」だし)、
後者にとってはそれが「ふつう」なので、狂ってるとかではないと思うんですよ。


ではどういうものが狂気だとわたしは考えるかと言うと

毎日規則正しく同じ時間の満員電車に乗って8:45に出社し、
ときに理不尽に恫喝されたりしつつも、特別嫌いでも好きでもない仕事をきっちりとこなし終電で帰り
また次の日も同じようにスーツを来てきっちり出社する

っていうことのが
よほど狂気のように思えるんです。冷静に考えるとすごいし、すさまじいし、常軌を逸しているのではないかと思えることがあるのです。それが悪いとか、非難したいとかいうわけでなく、わたしたちが当たり前だと思ってやっていることの中に、実はすごい尋常じゃないことが含まれているのではないか
傍から見たらまったく信じられないようなことを、日常として生きているのではないかと思うのです。

繰り返す日々の生活の中に、変わり映えのない労働の中に、心をときめかせる恋と出会いの中に、つねに狂気は潜んでいて、それがゲリラ豪雨のように日常の裂け目から現れる時が、たまにある
ということなのではないか、ということを思ったのでした。

僕らはそもそも昼に生きるのか そうでなければ何故、昼は
太陽の光りで注意を引き たちまち僕らの目を眩ませて 
輝きたいと思わせるのか
より高く、もっとより高く 空想よりももっと高くと 
たえず光源へとおびき寄せる
(なら)飛び立とう、そして到達しよう 足場が不安定なのに気づかずに
翼のバランス考慮して 飛翔は合理的に計算され
おかしい所は無いはずなのに 妙に自信だけ持っているのに
昇天への欲望はどうして 狂気の様に見えるのか
(TOKYOU No.1 SOUL SET「黄昏'95~太陽の季節

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12月6日(土)


ツナと卵のサンドイッチ、水


さば味噌煮、チーズとホワイトソースの入ったハムカツ、ほうれん草おひたし、キャベツサラダ、豚汁、お茶


ワイン(デキャンタで200ml)、グリーンピースと温泉卵のサラダ、ほうれん草の入ったグラタン(サイゼリヤで。総額698円!)

おやつ
コーヒー、帰ってからビール

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終日大学のスクーリングで、終わってからダッシュで行った飲み会はお開きの時間だった・・・みんなと会えたからよかったんだけど、おなかがへっていたのでひとりでサイゼリヤに行って飲みました。
意外にご飯も美味しいし、おなかいっぱい食べて飲んで(小説を読みながら。この時はまだ普通の恋愛小説だと思っていたのでちょっと泣いたりしながら)698円とか安すぎる!!!

TRIPLE BARREL

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I'm proud(Radio Edit)

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