#レコーディングダイエット

毎日食べたものを書きます

THA BLUE HERBのライブを見てきました(2016年12月24日)

ご縁あって、2016年12月24日に名古屋のClub JB'sでの
THA BLUE HERBのライブを見てきました。
…という話を
2017年2月23日に書きますね。
遅っ!

TBHR [THA BLUE HERB RECORDINGS]

20th Century Rapper

とはいえ、わたしがブルーハーブをよく聞いていたのは
大学生の時なので、
ということは、もう20年も前のことなんですね…!

THA BLUE HERB
この映像は2000年のフジロックの時のライブなんですけど
当時は本当に神がかってたんですよ。
今は色んなラッパーがいますけど
こういうポエトリーリーディングみたいな感じで
ラップする人っていなかったし
圧倒的な語彙と知識に裏付けられた歌詞の厚みも
段違いでしたもんね。

で、今も日本語ラップ流行ってますけど
当時もけっこう流行ってたんですよ。(ざっくりした説明)
でも、当時ラップしていた人たちの中には
売れてくるにつれラップする意味を
失っていくように見えた人も多く
(ex.「成り上がりたい」がラップの動機だと
 成り上がってしまうとラップする意味を見失う)

でも、ブルーハーブは、当時のような勢いはないかもしれないけど
20年間現役でやってるんだー、
すごいなーと、思う一方で
今更…というか
何で今でも…というか
昔取った何とかで商売してんじゃないの…?
みたいな疑念も持っていました。

C.EのTシャツ着てる中産階級が聞く音楽とは

JB'sに入るとライブ前から超満員。
HAZUさんのDJ*1を聞きながら、うわー、若い子ばっかだー
と驚いた。

若い子だったら、もっとイマドキの若いラッパーの
音楽のほうがワクワクするんじゃないの?
なんでこんなおっさん(失礼…)の音楽がいいの?
など、三たび自分のことは棚に上げて考えていた。

また、わたしは今
Ryugo IshidaとかゆるふわギャングKOHHといった
ヒリヒリする生活の実感から生まれた
想像力とエネルギーが、暴走する彗星みたいになってるタイプの
ラップに夢中なので

C.E*2を着た大学生みたいな子たちが
安くないチケットを買って集っているのを見て
あー、よいご身分でいらっしゃいますね
なんて、これまた自分のことを棚に上げて思ったりしていた。

こっちゃポエム書いとるわけじゃねぇ

年寄りはジェネギャップ感じてしゃーねー

上っ面しかはかれんその物差し
へし折んのにやっとんだぜGame

流石 青臭くてトベねーのは
駄草の名産地ならではのお方

目指せ直木賞だなまるで

TOKONA-X「EQUIS.EX.X」2002年

「テレビは見なくてメディアリテラシーが高くて
トランプが大統領になって驚き怒っている人たち」と
「そういう人の言うこと為すことに
憤懣やるかたない思いをしている人たち」の断絶が
最近は話題になったけれど
2002年にTOKONA-XブルーハーブをDISったこの歌詞をふりかえってみると
前者が後者の思いに、存在に
気づくのが遅すぎただけだったんじゃないか?
そんな風に思ったりした。
寒がりのババアはカシミアのセーターを着てきてしまい
開演前から既に汗だくだ。

生き恥、説教、ライフストーリー

https://www.instagram.com/p/BOadlNoB3bm/
行ってきた #thablueherb

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ライブが始まるとドーっと若い人がステージの方に押し寄せてきて
しかも、皆、もう、目がキラキラなんですよ。
キラッキラ。
本当にみんなBOSSのことカッコイイと思っていて
ブルーハーブが好きなんだな、と思った。

でもBOSSの歌ってることって
他のヒップホップもそうなんですけど
ほぼ説教なんですよ。
自分の信じた道を生きろとか
他人の言うことに惑わされるなとか
わずかな金やちょっとした名声のために誇りを売るなとか。
汚れつちまつたババアには暑苦しく感じることも多いんだけど
それをメンタルとフィジカルの両方に響かせるべく
力強くてエモーショナルに訴える
20年戦士のラップだった。

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たぶん彼らのピークタイムのひとつは
20年前であったことは確かで
彼らも今もやり続けていることを
生き恥を晒しながら歌っている」とMCで言っていた。

昨今のラップバトル・ブームについても
だいぶ抑えたトーンで苦言を呈していた。
「自分はバトルMCではない、ラッパーだから」とも。

「バトルでそのラッパーが本当に言いたいことが
 ”勝ちたい、負けない”だけならばそれを言えばいい。
 でも10代を過ぎても言いたいことがそれだけなのか。
 10代なら10代、20代なら20代
 30代なら30代、40代なら40代の
 そこからしか見えないLIFE STORYを語ることが
 ヒップホップなんだよ!!!」

うおーっ、と盛り上がる会場の若人たち…

カッコよくてもすぐにイタくなり
常に色んな視点からの評価がメタメタに感じられ気になり
何事も言い切れない、決めきれない 
相対化の大海原にいるからこそ
生き恥でも痛くても、ピークじゃなくても、
おっさんでも、中流階級でも、
俺はこうなんだ、これを信じるんだ、と
熱く押し付けてくれる力を眩しいと感じるのかもしれないなと思う。


明日をも知れぬ非正規雇用から
抜け出せる道筋なんて全く見えなくて
家族はバラバラで金もなく
税金とか保険とか何それ?みたいな生活をしている人が
いっぱいいる世界では

iPhoneでサチモス聞いて
自分で焙煎した豆で煎れたコーヒー飲んで
ニューバランス履いて、みたいな子を見ると
ケッとか思っちゃうけど
中産階級には中産階級の苦悩があり、生活があり
それぞれに辛さがあり、それぞれに絶望があり
それぞれに必死なんだな、という
ごく当たり前のことに気づかされた。

だからといって
「お前らだけじゃないよ、それぞれ苦労してんだよ」
と、収入の少なすぎる層の苦しさを
相対化してしまうことは、
絶対にあってはならないと思うんだけど。


でも、後になってTOKONA-XとBOSSが和解した*3ように
たぶん、こういう音楽、こういう文化は
階層によって断絶されてしまった人たちが出会い
結びつくような機会と力を持っているんだと思う。

わたしは、誰になんと言われてもそう信じているので
ライターとして、
こういう音楽、こういう文化から貰った力をもとに
断絶を揺り動かすような言葉を紡いでいこうと思った。

やらなかった事 やれなかった事とも言うだろう
あんたが人生においてやらなかったことだよ
あなたがやり残したものとは何だい?

ハーフタイムは終わった ここから後半だ
土壇場 モノにする度 MORE YOUNGER
最後まで笑っていたいから頑張る 
まだやり残したことがあるんだ
THE BLUE HERB「AND AGAIN」


THA BLUE HERB×OLEDICKFOGGY:THA BLUE HERB「AND AGAIN」
(この映像は私が見た12月のライブの映像ではありません…)

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トウカイ×テイオー

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THA MASTA BLUSTA :20周年記念エディション

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*1:自分の中ではHAZUさんのイメージはSCHOOL NITEのDJなので普通にヒップホップをかけるDJは新鮮だった。ってこっちが本業だよね…。 ディスコ高齢社会---「SCHOOL NITE」に行ってきた【前編】 - #レコーディングダイエット

*2:スケートシングさんがデザインする洋服のブランド。Tシャツでも1万円くらいする

*3:とBOSSは言っている