花という方法
おととしくらいから「ISIS編集学校」で勉強をはじめまして
この春から、「師範代」という教室のコーチを養成するクラス「花伝所」に入ることにしました。
「入伝式」に行ってきました
花伝所という名前は、「風姿花伝」からとっているそうで、
世阿弥のことば「まねる・うつす・わたす」が
学習における重要なキーワードだという話がありました。
先人の「型」や「方法」を「まねて」「うつして」、
そして、「そのプロセスの全体」を誰かや何かに「わたす」。
「まねたりうつしたりしたもの」ではなく、
「まねたりうつしたりした、そのプロセスの全体」をわたす。
松岡正剛校長は「花鏡」を「世界一の学習指導要領だ」と言っていたけど
「まねる・うつす・わたす」が、編集学校のコーチングメソッド(方法)を学ぶ上で大切であり
師範代になった時の指南に大切だと、そういう話でした。
他の師範からは、こんな話があった。
今日ここに来る道すがら、生垣にツツジの花が満開になっているのを見た。
木いっぱいに花をつけて咲いているその様子は、単に美しい、というよりも、
はげしく、感動的で、すごいパワーがあるように感じられた。
それは、植物が次の世代に命を残していくための方法や力が
「花」というかたちで結実しているものではないだろうか。
わたしはこういう講座や勉強会に出たり、
本を読んだりすることが好きなんだけど、
今まで、自分が学んだことを「わたす」ということは
あまり考えたことがなかった。
子どももあまり欲しいと思わないし、
「自分の生きた証を後世に残したい」という人の気持ちも
(否定するわけじゃなくて)、シンプルに「なんで?」と
思って、全くわからなかった。
でも、「わたす」ということまでが、学習であり、編集であり、
烈しい感情や思想や、生命の何かしらが結実した「方法」なのか。
と、思った。
休憩時間に松岡校長がわたしを見て
「君は、野田努のファンの人?」と話しかけてくれた。
入伝の前に、学校に自分のプロフィールをまとめたシートを送ってあるのだが
わたしはそれに、高校生の頃、野田努さんが作った雑誌「ele-king」を読んで
テクノや、レイヴや、その背景にある社会や文化に興味を持った、と書いたのだ。
野田努さんは、その昔松岡正剛事務所にいたこともあるらしく
校長は野田さんのことを誇らしげに話していた。
「君は、それまでになんかバンドとか、音楽をやってたの?
ニューウェーブやパンクに影響を受けた人?」
「いえ、わたしはニューウェーブなんかをリアルタイムで聞いたことは無くて、
バンドもやったことないんですけど、テクノと出会って何が嬉しかったかって、
『バンドを組まなくても音楽が出来る』っていうことだったんです。
コンピュータがあれば、ベッドルームでひとりでも音楽が出来るっていうことが」
と、初対面なのに夢中になってテクノやレイヴのことを校長に話した。
ふだんは、友達にも、自分がテクノやクラブが好きだということを話すことには
ためらいがあるのだけれど、この時は汗だくで、熱っぽく話した。
きっと野田努さんのことを良く知ってる人だから話せたんだと思う。
そう思って話し続けていたら、唐突に、
「自分が世界のことを拒否しているのに、
自分自身を、世界に受け入れてもらえるわけがない」
という考えが思い浮かび、
自分が少し前に書いたブログの記事を思い出した。
世阿弥は「是風が非風を抱き込む」とも言っていたらしい。
自分の外にある非風も、中にある非風も、「抱き込んで」いけるようになりたい。
それにしても、わたしが「ele-king」に出会ったのは18歳の時で、
それからまた18年を経て、野田努さんの上司?でもあった松岡校長に出会うなんて
「わたされている」なあ、と思ったのでした。
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5月9日(土)
朝
レタスのサンドイッチ、ランチパック(ピーナッツ)、お茶
昼
野菜のオーブン焼き(豪徳寺のデニーズで)
夜
おにぎり、からあげ、筑前煮、お漬物(入伝式のおべんとう)、お茶
おやつ
おだんご、チョコレート、コーヒー、お茶
夜、帰ってから
ビール、山わさび、明太子
5月10日(日)
朝昼兼用
大根と玉ねぎと卵の炒め、ほろほろ漬け、ごはん、お茶
夜
ビール、餃子、天津飯、あんかけのラーメン(近所の中華料理屋で)
おやつ
水まんじゅう、コーヒー
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