コレラのない時代の愛
- 作者: ガブリエル・ガルシア=マルケス,木村榮一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/28
- メディア: 単行本
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また登場人物が多くて覚えきれないくらい出てくるんだけど、郵便局員や電話の交換手からも内緒話が筒抜けでプライバシーはないし、商売はせこいし、主人公はマザコンでロリコンで色情狂のストーカーだしなんだかもうどうしようもない人ばっか。で、この時代の人って他にすること無かったのかな?って思うくらい、「愛し合って」ばかりいる。
でも読み進めるにつれ、どの人も愛おしくなってくる。風呂に石鹸がなくて夫婦喧嘩になるとか、こっぴどく振った相手から手紙が来てうろたえるとか、頭髪が薄くなってあらゆる増毛薬を試した結果特に何も得られないとか、取るに足りないような日常のエピソードを通じて、ひとりひとりと、ひとりひとりが生きている風景がわたしの周りに立体的に立ち上がってきて(マジックリアリズム!)、まるで自分が物語の中にいるように感じられ、しかもその物語の中から出ないでいたいと思ってしまう。
どうしたらこんなふうに書けるのだろうと思う。豊かで巧みな比喩にもうっとりするけれど、基本的には見たままを書いたような写実的な描写が多い。登場する人や町が特別にドラマチックで美しいというわけでもないのに、どうしてこんなにロマンチックで熱く心をうたれるのだろうと思う。
読み終わって、取材へ。
ある町の薬局に行った。昔からのお店と、新しいマンションのどちらもある商店街の中の、ちいさな調剤薬局だった。薬局をひらいてまだ1年ほど、という若い薬剤師さんのご夫婦にお話を聞いた。
大きな病院に勤めていたときに感じた、自分の生き方と働き方の間にあった違和感。もっと地域の人の健康や生活によりそった薬局でありたい、という思い。
特別に変わっているとか、先進的ということもない。ふつうの薬局の、ふつうの薬剤師さんが、ふつうにまじめに仕事をしている。その、ふつうの言葉のひとつひとつが、心にじわっと沁みこんで、胸がいっぱいになる。
「起業する前は、『何とかしなくちゃ』っていう思いですごく焦っていた。
でも、自分はどんなことがしたいかっていう、理念ややりたい方向が
決まったら、焦らなくなった。自分のやりたいことをかなえるために、
『ふつうの調剤薬局』を一歩こえることが必要な時期がいつか来ると思う。
ゆっくり、タイミングがきたら でいいと、今は思っている」
と、言葉のとおりゆっくりかみしめるように言われたことが心に残った。
この、起業家にインタビューする、っていうお仕事をいただいたとき、
「こんなにすごい人がいるんです!っていう記事には、したくない」
って、ご依頼いただいた方から言われたんですね。
そうではなくて、「その人の人間ぽいところを、聞き取りたい」「インタビューを通して、その人自身も分かっていなかったところを、見つけたい」と。
「大変だったり、弱かったりするところに、その人の輝く瞬間があると思う。
起業を通して、すごくなくても・強くなくても・速くなくても、
『ちゃんと自分を向き合う』ということ。
何かいいことをして起業しているから、すごい、のではなくて、
そのプロセス自体に、その人や周りの人が思いもしないような
凄いパワーがある。
その人が起業を通して自分を変えることと、
社会を変えることは実は重なっていると思う。
それを書くことで、世間一般の価値とは違う価値を、
そっと提示したい」
・・・ので、そのように書いてください、と言われたんです。
こんな思い入れのあるお仕事をいただけたことに感動したのと同時に、
あなたは、そういうふうに人やものごとに対峙して、書いていくことができるのですか、と問われたように思った。それ以来、ずっとこのことを考えている。
すごい、輝いている、強い、新しい、というフィルターで見たり書いたりすることなく
「ただ、そこに存在しているということの価値」を
あなたは書けるのかと。
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1月19日(月)
朝昼兼用
チャーハン、キャベツゆかりあえ、お茶
夜
冷奴、釜あげうどんに納豆をかけて食べました、ビール
おやつ
コーヒー、ドーナッツ、ポテトチップス、さつまいもの入ったパン
夜のミーティングの時にみんなが持ち寄ったおやつ。炭水化物まつり!