誰がワーキング・クラスの味方なのか
いま、子どもの貧困、とか、貧困の問題についていろいろ言われているけれど、子ども食堂をしたり学習支援をしたり病児保育をしたりしているひとのほとんどはホワイトカラーというか、大卒で、健康で、経済的な資本にも社会関係資本にも恵まれた人たちだと思う。
それがまったく悪いこととは思わないけれど。
しかし、昔は、というか私が生きていないころの話なので確かめられないんだけど、昔は「ワーキング・クラス」という呼び方があったそうじゃないですか。「ワーキング・クラス・ヒーロー」とかね。大卒のインテリじゃなくても、ブルーカラーでもその「クラス(階層)」に対する敬意というか、そういうものがその階層内にも、階層外にもあったんじゃないか。そう想像するんです。それは文化的社会的経済的援助を与えて「ホワイトカラー層並み」に、文化的社会的レベルを「引き上げよう」とするものだけではなく、ワーキングクラスの文化をそのままで受け入れようとするものではなかったのだろうか、と私は想像するんです。
でも、いまやワーキング・クラスという呼び名はすたれ切ってしまったみたいで「ヒルビリー」とか「CHAVS」とか、日本語で言うと「DQN」みたいな。「スマートフォンとPCの両方を使いこなし、SNSで意識の高い議論を交わし、テレビもユーチューバーも全然見ない」みたいな層「以外」の人をそう呼ぶみたいなんですけど、それをかわいそうとかそれゆえに貧しいんだみたいな思い上がりがあると思うんです。(「ワーキング・クラス」の文化の弱体化という原因もあるんだろうけど。)自分は大卒でホワイトカラーでオバマ/立憲民主党支持者だけど、そのことにモヤモヤモヤモヤするんです。
このブログ↓に「オバマの民主党やブレアの労働党が、いかに労働者階級の人の意見を代表する党ではなくなっていくのかを鮮やかに描いた二冊。」という記述がある。
「困ったら何でも相談してください」「誰もが来ていいところです」と呼びかけるNPOよりも
「1万円札を1万5000円で売ります」とメルカリで呼びかける人や、「お給料の前払いができますよ」というアプリ(Paymeとか)のほうがずっと「当 事 者 の ニ ー ズ」に合っているのではないか、わかっているのではないかと思うたびに無力感にさいなまれるけれど、
私はあきらめない。
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