わたしと村、と、大岩さんと金森さん
わたしは岐阜生まれele-king育ちなので、
34歳になるまで、愛知県の知多半島というところには、空港以外では来たことが無かったんです。
職場がこちらに変わりまして、いろいろなところに行ってみたら、まあ、潮風で何もかも錆びついているような田舎なんですけれども(すみません)、アクティブな人・パワフルな人がいっぱいいる、市民活動と住民自治のカッティングエッジではないかと感動しまして
この力はいったい何なのか、どこから来るのだろうかと思いまして、友人たちとTeam2025というユニット(?)を組みまして、知多半島の凄い人や面白い人、ふつうの人やふつうだけどすごい人なんかをお呼びしてお話を聞く会をしたり、なんかしたい人の悩みごとをみんなで寄ってたかって考える会(←このお節介さが、知多半島的…)などを開催しています。
今年度はこのユニットの活動が愛知県のモリコロ基金の助成を受けまして、
知多半島には、有名でもないし、すごく稼いでるとかでもないけど、なんだかすごく人の心を打つ素敵で面白い人がいっぱいいるので、知多半島の美味しいものを食べながら、学生とか若い人たちと一緒にその人たちの仕事や活動の現場をめぐることで、新たな知見を得ようという、そこらへんの旅行会社や観光協会の企画よりも絶対面白いと自負してやまないローカル×イノベーティブでDIY精神しかないスタディツアーを企画してやってみました。
南知多でオリーブの農園をはじめた方のところにも行きました。写真とは関係ないですが、こんなことを書いてしまって観光協会の人達から怒られないか、明日から知多で生きていくことができるのかと、心配でびびっています。観光協会さん愛してますラブ!
で、このツアーの報告書を作ろうということになりまして
ツアーに参加してくれた方と、見学先になってくれた方のお二人に、ツアーの感想やふりかえりを聞いて載せようということになり、取材に行ってきました。そうです、ここからが本題です。
お話を聞かせていただいたのは、南知多町で知多牛を育てている大岩さん。20年以上肉牛を育てているそうですが、この3月から、自ら育てた牛を精肉加工して、移動販売車で売りに行くという事業を始められるそうです。
大岩さんいわく、肉牛の生産者は、牛を市場へ届けるまでが仕事で、育てた牛がどのように売られ、誰にどこで食べられているかは分からない人がほとんどなのだそうです。
「いま、農家さんが野菜を直接売る『マルシェ』とか流行っているでしょう。あれは儲けたいんじゃなくて、本当に純粋に、自分が工夫して作ったものを食べてもらいたい、分かってたべてくれる人の顔が見たいっていう気持ちだけでやっていると思うんだよね」と、大岩さん。
大岩さんもまさに同じ気持ちで、工業製品を出荷するように牛を市場に出すだけではなく、自分で食べられるように加工して売りに行って、美味しい食べ方を説明したり、どんな風に育ててきたかを話しながら買ってもらって、食べてもらいたいとのこと。
「14~15年前、BSEが問題になった時、肉牛は風評から売れなくなって
それまでの値段の5分の1くらいになったんだよね。
正直、もう廃業しようと思ったの。
でも、その時、趣味のバイクを通じて知り合った人が
『お前の肉が安全なら、何キロでも買ったる。送ってくれ』って
言ってくれたんですよ。
それからですね、人との付き合いがちょっと変わったのは。
人に優しくできるようになって、ちゃんと話が聞けるようになったのは」
ツアーの時にはまだできていなかった、念願の肉の加工場を見ながらお話を聞かせていただくのは、ツアーに参加者として加わってくれた金森右席(ゆうすけ)さん。
大学を卒業してから岐阜県内のメーカーに勤めている29歳。工程管理や新人教育などを担当し、やりがいを感じつつも、新しいことにも挑戦してみたいと感じ始めている時に、このツアーに参加していただけました。
イケメンでいらっしゃいますこと
ツアーでは、南知多町で空家となった築100年を超える古民家を利用して、障害のある人の働ける職場を作ろうとしているところにもうかがったのですが、金森さんもツアー後、偶然職場近くの空家を見つけて引越したそう。
「今回のツアーは大学生の子とも一緒に、大岩さんとか、面白い仕事をしている人のところを回ったけれど、きっと彼らの10年後くらい後に効いてくるように思います。
世代が違う人たちとの交流…仕事に対して、これからの話をする機会ってなかなかないし
『こんな大人おっていいんや』って思ったり、大人が『こういう仕事やろうと思ってる』って挑戦している話を聞けるのっていいなと思いました。」
「いま『キャリア教育』っていうとイコール『「仕事」「就職」を教える』っていうことだけになっていて、それでは夢を持てないように思うんです。仕事って「決まったことをやりとげる」っていうだけじゃないと思うし…」
取材はもう一人のイケメン、大岩さんのお宅で行わせていただきました。ログハウスですよすごい!!!
今回のツアーで見学先をコーディネートしてくれた、大岩さんはじめ南知多チームの方はパワフルな方ばかりで、農家だったり福祉だったりまちづくりだったり、みんなでそれぞれの事業を助け合っていて、素敵なチームだなと思ったんです。大岩さんにそれを言うと
「僕もそうだけど、みんなうまくいった経験だけじゃなくて
失敗も繰り返してきたことがある人たちばかりなんだよね。
凄く大成功した、イケイケの人じゃないっていうか…
頑張ってもダメだった経験もある人達だから、共感したりプロセスを共有したりできるのかな。」
と、仰っていました。
大岩さんも金森さんも、年齢も住んでいるところも仕事も違えど、今、まさに新しい仕事や活動に一歩踏み出そうとしている人で、わたし自身もライターとして売り込みに行って断られてきたばかりだったので、これからやったるで!というワクワクと、先の見えない不安の両方を三人で分かち合えたように思って、胸の奥やみぞおちの辺りがほっとあたたかくなるように感じられた。
わたしは高校生くらいから、テクノやハウスといったダンス・ミュージックが好きなんだけど、ダフト・パンクみたいにすごく有名なアーティストもいれば、その一方で、自宅のベッドルームの小さな機械で作った音楽を細々と発表している人もいる。
だけど、そういう人が作った音楽が、300枚とか500枚とかレコードにプレスされたり、今だったらインターネットで配信されて、作った人が誰だかわからないけどそのシーンの中でヒットして、いろいろな国の色々な夜にプレイされ、夜にだけ自分らしく居られるような人たちを熱狂させたり、うっとりさせたりすることが、何度もあることを知っている。そして、わたしはそれが、とてもいいと思っている。
小さくても、有名じゃなくても、つまづいても、きっと意志あるところに輝くところはあって、わたしはそれを逃さないでちゃんと書いていけるようになりたいと思った。
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2月21日(土)この取材の日に食べたもの
朝
コンビニのパン、お茶、コーヒー
昼
あんぱん、お茶
夜
あさりのパスタ、お茶、チーズ
おやつ
コーヒー、紅茶、「シャトレーゼ」のお菓子(昼間に出た会議で出たおやつ)
2月26日(木)この記事を書いた日に食べたもの
朝
お茶
昼
クリーミー味噌ラーメン、キャベツサラダ、ひじき、お茶(学食にて)
夜
ビール、にんじん胡麻和え、ほうれん草おひたし、豆腐にとろけるチーズをのせてレンジであっためてねぎとかつおぶしと醤油をかけて食べました、ねぎ入り卵焼き
おやつ
チョコレート、ガム、コーヒー
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